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746/747鞍目 馬語会話入門 [第18章 バランス追求編]

 2008-12-12(Fri) 通算746/747鞍目
■通り過ぎる風景に樹形のシルエットが目立つようになった。
骨太な枝が白々とくっきり伸び上がる木。
枝分かれした先が細かに入り組む木。
落葉樹ならではの冬の美しさである。

■本日午前は【くれよん】君。
毛刈りをしてもらってすっきりさわやかな風情。
彼は動じないタイプらしく、首から顎にかけて顔の半分を剃ってもらっている。
■まじめで良い子だから、楽しく乗せてもらう。
駆歩もゆったりとしたいいリズムで動いてくれる。
こんな時こそ、自分の姿勢とかバランスなどを検討しながら乗れる。
駆歩の騎乗姿勢の歪み。
右肩が前に出てねじれているのを、何とか収まりの良い場所を探してあれこれ動いてみる。
右手前では、右に重心を寄せて上半身はまっすぐにしたいのだが、ストンとくる場所がない。
右脚の先に体重が落ちていかない。
途中で詰まったような感じになっている。
右の内方脚の位置が後ろに流れているのか? 
鐙が深くなりすぎているのか?
つま先が外を向いてしまっているのか?
駆歩の輪乗り開閉をしながら、いろいろ試してみる。
■先生からは「右の鐙の踏み方がよろしくない」とご指摘がある。
一旦先生の前で馬を止めて、脚位置を直してもらう。
「まずだらんと力を抜いて」
「こっちで脚の位置を決めるから力入れないでね」
鐙の履き具合やふくらはぎの位置、足首のまげ具合など外から形を直される。
「わかる?この位置だよ」
「鐙のはき方がどうにも変なんだよ」
「どんな風にやっている?」
ええっと、つま先が外向かないように、足首を内転させて足の内側面をやや上向き(内反)になるよう力をいれている感じ。
「膝から下は力を抜いて必要時以外は何もしないんだよ」
「脚が自由に使えるようになってきたんだから、もっと意識して」
「馬が重いなと思ったら鞭を使って、脚を使おうとすればするほどバランスを崩すからね」
癖を直そうとすることで、新たな問題を作ってしまうのか…
力を抜いて自然に乗っているのが理想なのだが、そこに至る道は険しく遠い。
「あっ、鐙をひとつ、いや2つ詰めましょう」
「踵を下げて自然な感じで鐙を踏むようにね」
はひふ〜、鐙を短くするとなんだか鞍から浮き上がってしまう感じて落ち着かない。
かつては鐙を短くする方が安定していたのに、今では逆になっている。
■小休止後、「さて駆歩」と扶助を出すとにいきなり【くれよん】君は混乱した様子になる。
彼は、いったん手綱を伸ばして緊張を解いた後の再始動が苦手なのだ。
前に進まず左右にぶれて、終いにはその場跳び3連発。
「こら、そんなことしちゃいかんだろう!」と馬をしかる先生。
先生に乗り替わってもらって、短くした鐙革で再度駆歩挑戦。
この長さだとふくらはぎがピタリと着いて動かない。
「そうそう、それでいい」
「さっきと違うのがわかる?」
駆歩の脚位置がぶれなくなったのは実感できるのだが、駆歩の姿勢全体としてはどうなんだろう。
これは、今後の課題かな…


■午後は【てんてん】君がお相手。
競技会以来のお久しぶりだが、ちゃんと覚えていてくれた様子。
馬房から首を出して「いざ行かん」と乗り気になったところで、ふと見ると、
午前中の放牧でつけた泥パックがちょうどいい具合に乾いている。
馬装前にプラスチックブラシでごりごりと落とすのが最初の作業になる。
周囲に白い霧が立ちこめる。
ようやく準備が整い、騎乗前に調馬策でウォームアップとなる。
■騎乗してレッスンが始まると、暖気運転してあるためか最初からスムースな動き。
【てんてん】君がやる気を出すと、実に気持ちよく前に進んでくれる。
「もっと元気に!」という先生の声に押されてちょんと拍車を使うと、滞空時間の長い一歩になる。
天駈けるがごとし。
このまま続けば天上界に遊ぶ風情なのだが、
【てんてん】君はハミに出ていた力をふっと抜く。
いや〜ん、手綱の手応えがスカスカ。
なんで前に出ないで戻ってくるのよ〜
自動車のギアをニュートラルにしてアクセルを踏んでいるような感覚。
こうなると彼はピョコタンピョコタンとビッコになる。
すかさず推進。
ハミが手応えがなくなりかけた瞬間に推進すればいいのだろうが、カーブなどでどうしても1、2歩のビッコをひかせてしまう。
前と後ろの微妙なバランス、そして、彼の気持ちをうまく前に向ける馬心掌握術が必要とされる。
■「じゃあね、この横木をまたがせてみて」
馬場には4本の横木が並べてある。
「まっすぐ真ん中を通らせるんだよ」
横木に向けるのに内側の手綱で引っぱろうとすると、とたんに外に膨らんでふらふらとなる。
そうだった、まず外側で規制して馬を回すんだった。
ごめん、次からはきちんとやるから。
まず、外側の手綱をちょっとだけ握って「次にやってもらいたい事があります」
外方の脚で押さえて「ここから外へは行かないで」
内方脚で「スピードは落とさずに」内方の手綱で「こっちの方向へ」
右へ傾きがちな【てんてん】君には、「内方手綱を押し気味に、外方手綱を開いて」と先生からのアドバイスが飛ぶ。
うまく伝わるとまるでレールに沿ってカーブを切るように無理なく曲がってくれる。
何度か繰り返すうちに、外方拳のわずかな握りだけで察知してくれる。
最初のキューだけで、打てば響くような反応が返ってくるのは、本当に気分がいい。
曲がった正面に横木があれば、ポンポンポンポンとリズミカルにまたいで行ってくれる。
楽しい!
会心の出来の後は「よくできました」と馬を並歩にしてしまう。
■駆歩は右手前はいい感じ。
継続するし、手綱に馬の力が伝わってきて真ん中でバランスがとれている。
ところが、左手前になるとスピードが速くなったり、バランスが真ん中に集まらずちょっとしたきっかけで速歩に落ちてしまう。
先生は「左手前だと脚で抱きつくようになって拍車があたって速くなるのかも」とおっしゃるが、
なんだか、馬にとって左右のハミのあたり具合が違って、左手前だとハミを頼って走れないんじゃないかなあという気がしないでもない。
まあ、根底には私の左右バランスの悪さがあるからなのだろうが。
【てんてん】君には、「馬はハミを頼って走っているんだよ」ということをあらゆる機会に教えられている。
信頼に応えられるハミとは、拳が静定していること、馬の前に出ようとするパワーに釣り合った支えを提供できること、わずかなキューが明確に出せる繊細さを併せ持つことなど、難しい課題がいっぱい。
馬に教えてもらいながら、自分の身体で覚えていくしかない。

■馬に3種歩様で気持ちよく走ってもらうという単純なことしかやっていない。
先生も外から見た動きがいいか悪いかしか言わない。
でも、何万語も費やすような馬との対話。
時に何を喋っていいのかわからなくなったり、全く会話が成り立たず怒鳴り合ったり、何となく通じたかなと笑ってごまかしたり、まだまだ馬語会話入門編の挨拶程度。
馬にバランスよくリラックスして乗れるというのは、言葉が雑音にまぎれず明瞭に伝わるために最低限必要なこと。
馬の意志や感情にそって会話をするには、伝えたい内容とか話の持っていき方とか語彙の豊富さとか盛りだくさんの要素がある。
馬と自由自在に話せるようになるとどれだけ楽しいか。
この先に世界にわくわくする。


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