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706/707鞍目 腕が伸びて馬の口に届く [第18章 バランス追求編]

 2008-07-09(Wed) 通算706/707鞍目
■先週末は30℃を越える蒸し暑い日だった。
朝顔の最初の一輪が咲いてセミも鳴き出していよいよ酷暑が始まるかと身構えたが、
思ったより涼しい。
よかった〜、ホッとする。
「9時までにインターのゲートを通る」という鉄則があるので、
倶楽部に到着する時間はほぼ10時前。
それから馬装準備をしてレッスンだと暑い季節には乗れない。
夏本番になったら、夜明け前に家を出るしかないのかも。

■いつもと同じお相手かと思いきや、
「今日はこの馬に乗りましょう」とそばかすの葦毛君を紹介される。
先生曰く「繊細なのか食べても食べても太らない」【δ】君
「馬場馬もどきですけど、古くからウチにいるんだよ」と簡単な経歴を聞かされて、
「よろしくね」と挨拶する。
■ベテランで繊細な【δ】君ですか… 様子を探りつつ準備運動を始める。
うわっ、真面目。
わずかな合図ですっと動くし勝手に膨れたり切れ込んだりしない。
速歩になるとどんどん前に出ていく。
さらに駈歩を出すと「うひょう」と叫びたくなるような乗り心地。
バランスが取れないままシーソーに乗っているような感じ。
初対面の人馬の状況を見て取ると「はい、こっちに来て」と橘先生からお呼びがかかる。
■「この馬はこんな風に駈歩ができるんだよ」と乗り替わった先生が見せてくれる。
顎を引いた馬場馬の体勢になって、ゆっくりした駈歩で輪乗りをしている。
随分と小股のステップを刻んでいる。
「駈歩って,スピードが出るものではないの?」
なんだか駈歩の概念が崩れてくる。
「今まで知っていた駈歩って何なの?」
■馬を止めて鞍上から先生が指示を出す。
「馬のハミ環近くの手綱を持ってみて」
「拳を立てて、左右とも普段通りの持ち方で」
【δ】君の顔を抱え込むようにして手綱を持つ。
「ほらね、馬がこんな風に持ってきても許さないでがまん」
拳をぐううと引かれて、思わず拳の握りが緩んでしまうと
「ダメ許しちゃ!」と叱責。
絶対拳をひらかないようグッとこらえていると、
「そうしたら,馬が諦めてふっと力を緩めてくるから」
手にかかる力がわずかに弱くなる。
「そしたら人も緩めてあげればいいから」
【δ】君を間にはさんで、先生と私で手綱の引っ張りあい。
先生の普段使っている力加減がよく分かる。
「この馬ではこんなに弱くやっているけれど、馬によっては強く持つ場合もあるんだよ」と示してくれる力では、こちらが満身の力を込めないと対抗できない。
「それでも我慢していれば馬が譲ってくれるから」
「どんな馬だって同じなんだから」
〈フラットに乗る先のステップ〉は、ここに行き着くんだ。
「前を持たないようにと言われてそうやってきたと思うけれど…」
「最初からゼロの力で持っていたら、ゼロのままでしかないから譲ってくれるのがわからない」
「我慢して持っているから、ゼロになるのがわかる」
「本当はゼロで持つわけじゃなくて、ある程度の力はかかっているけどね…」
ううむ、馬と対峙してコミュニケーションの結果のニアリーゼロなんだなあ。
私は対決を避けて最初からゼロで持っているから、コミュニケーションの機会を馬に与えてないんだ。
「馬が首をさげて譲ってくれる感覚がわかる?」
「もちぇさんは、関門を乗り越える一歩手前のところにきているだから」
「これを乗り越えればもっと楽しくなるから」
おわぁ、これってハミ受けの精選レッスンそのものではないか。
基礎固めに何百鞍も費やして、ようやくここに至るか。
「じゃあ、駈歩してみて」
■ガタガタしたシーソーに乗っているような駈歩をしながら「前を許すな」と言われて,グッと持っていると乗り心地が変わる。
なんだかまとまってきて,まん中に安定して乗れる感じ。
馬が首をさげて自分の前に何もなくなってしまいそう。 
ここで手綱をグッと持っているとかつての【アレフ】のように前にグウーとめり込んだりしないんだろうか?
でもここで手綱を許せば、却って前につんのめったりでんぐり返ししたりしないんだろうか?
不安な気持ち一杯で手綱の握り加減を考える。
ええい、馬と相談だ。
あれこれやってみて【δ】君がどう出るかだ。
おっと、馬が躓いた。
これは手綱がゆる過ぎたかなあ。
もうちょっと持って、頭が下がったら、ちょっとだけ…
あれこれやっていると乗り心地や手綱の感じが刻々と変わっていく。
ああ,この感じ。
手綱が馬と一体化している。
まるで自分の腕が伸びて馬の口をいーとつかんでいるような感じ。
うわあ、腕が長くなってしまった。
今まではハミ環のところでかくんと折れてジョイントになっていた感じなのだ。
「どう?何かわかった?」といつものように聞かれて。
「腕が長くなりました」と答えたものの、うまくこの感じを表現できない。
■「あとはね、常歩で馬の首をさげさせて、
その状態のままで輪乗りできるように練習しましょう」
「前を持ったままで馬を出して」
「手綱は3番と4番目の間を持つようにして」
「ほら、首が下がった」
「わかりますか?」
「今のは、首を上げていい状態じゃないのが、わかりますか?」
ううーん、首をさげてきた時は見ればわかるんだけど、首を上げてハミを受けていない状態がどうにも区別がつかない。
これまでハミを受けてない状態で平気で乗っていたから、これが普通で何も違和感を感じられないのだ。
ハミを受けた状態で乗った時の感覚をしっかり覚えて、違いがわかるようにならないとなあ。
【δ】君は力を入れて手綱を持たなくても、拳を開かずに握っている状態でプレッシャーを感じるようなので、
握っていれば首が下がり,握りを弱めるレベルでリリースになるらしい。
輪乗りをしている中では、ちょっと姿勢を崩したり輪が膨らんだりと小さなアクシデントがあって、その度に首が上がって再び手綱を握るー首をさげるー握りを緩めるという一連の作業が繰り返される。
「この馬からよーく教わってね」とひと言が今日のレッスン終了の合図となる。
■馬ズボンといい自分の腕が伸びた感覚といい、それ以外に表現の仕様がないのがおもしろいなあ。
馬が伸びてばらけた感じは対処が必要な事態であって、それをどうしたらいいのかが何となくわかりかけてきた。
これまで駈歩の乗り心地が悪くて騎乗が怖いと思った時には、
できるだけ手綱を引っ張らずに前を楽にしようとしてきた。
「中途半端な力で手綱を持っていると馬がかかり易くなる」
「手綱を持つのは馬にはゴーサイン」
とさんざん脅かされてきたので身に染み付いているのだ。
そこからもう一歩踏み込むと、正反対のことをしなさいと言われるようになる。
「手綱を許すな、前をしっかり持て」
これはいつでも必要な分だけ手綱を手放すことができるのが前提。
伸びた馬の前を持ってまん中にまとめていくのは、ぶれない拳があって、馬のハミの具合がわかるセンサーと微妙な握り加減の調節ができた上でのバランス感覚なんだ。
おもしろいなあ。


■午後は【くれよん】君。
彼とは4月から一緒にやってきているので、自分のわかる範囲でいつもの準備運動を始めてしまう。
橘先生は、丸馬場で昨日去勢した馬の引き運動をしながら「じゅあ速歩にして」とか「片手手綱で」などの簡単な指示しか出さない。
「今日は座った速歩の練習と駈歩では鐙を脱いでやってみましょう」とレッスンの大まかな内容を言いおいて、馬場の外で作業を続ける先生。
見ていないだろうと思うと「もっと馬を左に向けて」「馬が内側向いていないじゃないの」と要所要所で声がかかる。
輪乗りの速歩で座骨が左右に荷重する感じをきちんととらえるよう、出す指示は少ないながらいつの間にか誘導されている。
左右の手前で気持ちよく速歩ができた時点で、これでよしと切り上げてしまう。
私は、先生のオーケーを待たずにうまくできたと思ったらさっと終わらせてしまうのだ。
他者の評価を待っていたらタイミングを逃して【くれよん】君にちょうどいいタイミングでリリースできない。
何も言われないから、これでいいのかなと思っている。
■駈歩も自分で始めて鐙を脱いでしまう。
左手前を一通りやったところで、「そんな感じでいいでしょう」と承認をもらう。
ところが、右手前をはじめると
「馬を止めてちょっとこっちに」とお呼びがかかる。
あらら、看過できない何かがあるらしい。
うしろ姿を見ると左にずれて座っているらしい。
「鞍も左にズレている直して」さらに「もっと右に座って」と言われる。
まっすぐになった状態では、右側の鐙がなんとなく長いような感じがする。
「それで違和感があるというのは、普段から左にズレて乗っているんだね」
右手前だと輪乗りが小さくなるとか私の右肩が前に出ているというのは、これが原因だったのか。
「もっと右に乗って」と言われながら右手前輪乗り駈歩をすると、たしかにきれいな輪になる。
■これまでは遠くからの見守りレッスンだったのだが、張り付いての重点指導に先生のシフトチェンジ。
角馬場で輪乗りをしながら、鐙上げ駈歩で片手手綱。
わーい,丸馬場でもなければ調馬索でもないぞ〜
脚でしがみつけばドンドン加速する【くれよん】君だぞ〜 と心の片隅でアラームが鳴っている。
でも大丈夫、コンディショングリーンなり。
■ここまではとくに問題なくできたのに、「じゃあ鐙をはいて」と言われると履けない?!
駆歩しながらでは鐙が見つからない。
特に右脚がまったくもってダメ。
今日の【くれよん】君はごそごそ鐙を探ってもバランスを崩しても落ちついて駈歩を続けてくれるから、怖い思いはしないのだが、どうしても右の鐙が探せない。
「膝から下を楽にして鐙をポンと蹴れば,すぽんと鐙の方が足元に収まるんだよ」と先生は言う。
確かに探さなくても鐙がもとの位置に戻るという経験は何度もあるのだが、右はそう行かない。
「つまり、それだけ足でつかまっているってことですね」
「あはは、そうだね」
くう、駈歩の右脚か〜
右手前の方が得意なんだけれど、大きな課題である!
■クーリングの常歩では「もう帰る」と馬場の入り口周囲から離れようとしなかった【くれよん】君。
何度か「息が収まるまでは馬場を大きく周回すべし」と伝えると素直に従ってくれるようになった。
もう終わりだから馬の自由にさせてもいいかと中途半端な態度でいたことがよくなかったのだ。
指示通り上手くやってくれた時に「よし」と馬からサッと降りる。
求めていることを明確にして、できた時にはタイミングを逃さずさっとリリースするという潔さが馬には通じるんだなあ。
「先生のOKが出るまで待っていよう」など
こっちの都合で「ちょっと待っていて」は通じない。
責任は自分で取る覚悟で、馬と正面から向かいあうのが大切なんだなあ。

■ちひろ乗馬倶楽部に来て騎乗回数が激減したことに危機感を抱いていた。
しかし、いつも橘先生が見て下さって前回までの積み重ねの上に新しいレッスンが組まれていると、まったく心配がいらない。
整合性があって前にやったことと確実につながりのある内容に安心感を覚える。
鞍数が多くても、指導員や馬が変わって積み重ねができないといつまでも同じ所を行きつ戻りつになってしまうんだろうな。


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